2012年度SNSムラカミ研究室米国セミナー報告

~ロスアンゼルスにて6月25日(月)より30日(土)【4泊6日】で開催~

SNSムラカミ研究室
村上 徳忍

今年のセミナーの研究テーマは、≪米国のエクサレント企業のCS(顧客満足)とES(従業員満足)の実際を探る≫である。
我々の前提にあった推論は、<最高度のCSは、ESがその背景にある筈である!>だ。
結論(結果論)として言うと、この推論は“正しくなかった!”と反省している。
何故かと云うと、〔従業員が支えるお客さまの満足〕という“思い入れ”が強すぎたということである。

お客さまの満足度は、お客さまのその店への支持(固定客化)レベルによって評価すべきものである。平たく言うとお客さまのよく入っているお店は、CS度が高い店であると評価すべきであるということだ。~外野がその店(企業)をどんなに否定、けなし(無視)してもである~

し かし、なかなかそのように納得できない“自分たち”がいることをセミナー参加者は思い知った。トレーダー・ジョーズ、ホールフーズをCSナンバーワン企業 の認めても、ウオルマート・スーパーセンターやダラーショップをCSナンバーワン企業と認めることに躊躇するのである。

セミナー参加者は、トレーダー・ジョーズ、ホールフーズでは、CSナンバーワン企業としての〔具体的事実〕をたくさん目撃して【ブルーペーパー】に書き溜めた。
ところが、ウオルマート・スーパーセンターやダラーショップについては、CSナンバーワン企業としての〔具体的事実〕は、集まらないのである。しかも、問題点指摘が多い。「従業員に笑顔がない」、「売り場、駐車場のメンテナンスが悪い」など。

◎CS(顧客満足)とは、何か!?

≪顧客満足とは、企業がその事業活動を通じて、顧客の欲求や必要性を効果的に満たすこと≫(広辞苑)である。
これは業態~営業や企業の状態・形態~の究極の目的でもある。
セ ミナー参加者が、今回視察調査した企業(店舗)の大多数は、≪顧客満足とは、企業がその事業活動を通じて、顧客の欲求や必要性を効果的に満たすこと≫に成 功している企業である。今回視察してCS視点で、注目し、高く評価したのは、ウオルマート・スーパーセンター、99セント・オンリーショップ、ホーム・デ ポ、トレーダー・ジョーズ、ファミマ、アップル・ストアである。いずれも自らの客層の欲求や必要性を効果的に満たすことに成功していた。多くは、昨年と比 較しても売り場、品揃え、サービスを大胆に変化させていた。
一番変化したのは、ダラー・ショップの野菜・果物売り場の充実である。
ウオルマート・スーパーセンターに行けない貧困層が、三食をダラー・ショップで間に合わせることになってきていることが伺える。また、この層の人々が急激に増えでいるようだ。

◎アップルストアは、我々に与えた強烈なショック
~未来型リアル店の実態を見た!~

今年のセミナーの特徴は、事前学習の多さと難度の高さである。従来からの事前学習資料に加えて以下の教材の精読を課した。

①《米国小売り産業のルーツを探る》~アルフレッド・D・チャンドラーJrの「経営者の時代」からの抜粋~
②「小売業は人件費を削ってはいけない」ゼイネップ・トン~HBR2012.7.~
③「アップルストア成功の教訓」ロン・ジョンソン(JCペニー・カンパニーCEO)

狙いは、歴史観を持って米国小売業を学ぶことである。
ある学者に言わせると、産業界(小売業界)は50年サイクルで、根本的に変化するという。
そして、今はその端境期にあるという。ということで《米国小売り産業のルーツを探る》を事前学習に加えたのである。
これまでの小売業(従来型小売り業態)の雄は、ウオルマート・スーパーセンターである。
デジタル(バーチャル)の小売り業としては、アマゾンが“未来型”企業として存在する。
はたして、リアル店は“未来型”企業として存続するのか?
ということで、「アップルストア成功の教訓」が事前学習教材に入ったのである。
アップルストアが成功させたロン・ジョンソン氏は、エクサレント企業であるターゲットの出身である。彼は、アップルストアの成功を引っ提げてJCペニー・カンパニーとCEOに就任したばかりである。

我々は、当然と事としてアップルストアを訪れた。
以下は、視察メモである。

*視察日6月25日(月)午後
*立地マンハッタン・ビレッジ・ショッピング・モール内(閑散としたモール内)
*約50坪の店舗
*立錐の余地がない込み具合の店内(「何か催事でもやっているのか?」と店員に尋ねたら「平常だ」という)
*従業員(全員コンピュータのプロ)が、150人
*ジーニアス・バー従業員(コンピュータのプロ中のプロ)は、30人
*盛り上がっているパーティー会場の雰囲気(フレンドリーで従業員も仲間感覚)
*商品ではなく、ソリュウション、満足を売っている店
*したがって、接客用語を終わりは、「有難うございます」ではなくて、「おめでとうございます~拍手~」
*アップルストアは、1店舗平均4000万ドル売り上げており、今日の小売業の歴史上最高の売上である

ロン・ジョンソン氏は、JCペニーでも成功の秘策有!を豪語している。
今後、アップルストア、JCペニーから目を離せない。

帰国後、米国でのアップルストアでの私の感じた衝撃は、多くの人にうまく伝わらない。
多分、ロン・ジョンソン氏が、JCペニーにおいて何かを“やらかした”時に多くの人は、気づくのかもしれない。オムニ・チャンネル・ストア誕生の瞬間である。
(2012年7月12日)

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