HBR[ハーバード・ビジネス・レビュー] バックナンバーの振り返り《001》

このシリーズを始めるにあったて

わたしのiPadには、[ハーバード・ビジネス・レビュー] のバックナンバーが少なからずストックしてある。2001年頃のものから事務所を引っ越す度に“廃棄処分”を逃れて何号かが残っていた。

今年7月に事務所(研究室)を引き払う前の引っ越しの際に、ある方の勧めでiPadを購入して、書籍類をiPad の「i文庫ホルダー」に収めた。最大のボリュームは、HBR[ハーバード・ビジネス・レビュー] バックナンバーであった。
この種の情報のストックは、見事に“デッド・ストック”となる運命にある。
しかし、時として日の目を見るのが[ハーバード・ビジネス・レビュー] のバックナンバーである。と言うことは、内容が劣化しないのだ。

ある時、友人からミンツバーグの本を読むように薦められた。彼の推薦の弁と聞いて、どこかで接した内容のような気がした。もしやとiPad の「i文庫ホルダー」の[ハーバード・ビジネス・レビュー] のバックナンバーを調べるとあったのだ。開いてみると、当時感動したのであろう、マーカーと添え書きがしてあった。
マーケティングに関した考え方を整理したい時には、コトラーの特集を取り出し、マネジメントに関しては、ドラッカーの特集が何号もある。リーダーシップ等はあり過ぎることある。
つまり、「実務理論辞書」である。

最近考えることは、主要なものを読み返してみることの方が、新しい本を読みあさることより重要ではないのか。また、私のクセで当時マーカーで汚しまくっている注目点が、現在とはズレている(違う)ことを確認してみたいと思い立ったのである。(実際、なんで?というマーカ−箇所もある)
その読書メモをホームページ読者に公開しようと言うことである。

《001》〔大野耐一論ものづくりの原点〕HBR2010年1月号 を第1回でしたい。ご存知の通り、大野耐一氏は「トヨタ生産方式」の生みの親である。
大野耐一氏とその本質をマルッと理解するための“宝物”のバックナンバーの一つである。

《001》〔大野耐一論ものづくりの原点〕HBR2010年1月号

<論文①>〔大野耐一ものづくりの求道者〕 
              ダニエルA.レン、ロナルドG.グリーンウッド

◎大野耐一が発明したトヨタ生産方式は、トヨタの伝統である「現地現物」主義、豊田佐吉の「自動化」、豊田喜一郎が唱えた「ジャスト・イン・タイム」にあると云われるが、他方、ヘンリー・フォードの「流れ作業方式」、ギルブレス夫妻の「動作研究」などにも、大きな影響を受けている。

◎品質は能率的で効果的な生産の一つの側面である。

◎大野はよい考えが研究と持続的な改善によってもっとよくなることを示している。

◎大野は、ジャスト・イン・タイムを生み出し、自動車産業におけるトヨタの競争力を再建した。

◎喜一郎は、口ひげをたくわえた若者(大野耐一)が豊田家の古くからの伝統である「入念な観察による学習」を意味する現地現物主義に従っていることを見た。

◎大野の実践は彼が作業現場を歩き回りながら一本のチョークを持ち歩くことと関わっていた。機会の業績が期待通りでない時にはいつも、彼は機械の周りの床にチョークで円を書き、監督者に対してこの円内にとどまってなにが悪いのかを理解するまで入念に監視するよう告げるのであった。

◎この実践は、入念な観察と分析による不断の改良の努力である改善として知られるようになった。

◎みずから語ることよりも見て聞くことによって、人は多くを学ぶことが出来るという簡単な原理を基礎としていた。

◎大野は書物の一章をフォードの無駄の理論に当てている。

◎物質をただ物質として節約することと、物質が労働を表していると云う理由で節約するのは、同じことと思えるかもしれない。しかし、この考え方の差は重大な相違を生む。物質を労働を表すものとして見るなら、より注意深く使うであろう。

◎努力、資材、時間の無駄は、決して製品やサービスに価値を加えないのだった。

<11月21日>

◎大野の思考の中心は、無駄の削減であった。

◎7つの無駄とそれぞれの対応

①.「作り過ぎのムダ」 在庫の山に費用をかけぬよう必要以上の作らない
②.「手待ちのムダ」 作業量の改善、あるいは従業員の弾力的利用と汎用設備の利用によって、待ち時間と機械の遊び時間をなくす。
③.「運搬のムダ」 資材の不必要な取り扱いをなくすように作業場のレイアウトの流れを計画する。
④.「加工そのもののムダ」 やり方に疑問を持つ。それは必要か。それが望ましい結果にどんな価値を加えるか。
⑤.「在庫のムダ」 在庫の山を無くすため在庫のジャスト・イン・タイム管理を用いる。
⑥.「動作のムダ」 動作が単純化できずより経済的にならないなら自動化する。
⑦.「不良品をつくるムダ」 品質管理と故障に対する安全策を実施する。

◎56年のアメリカ訪問で直接目にしたスーパーマーケットのやり方とジャスト・イン・タイムと結びつけることに成功した。『スーパーマーケットというのは、顧客に取って、必要とする品物を、必要な時に、必要な量だけ入手できる店である。顧客は、時には欲望が必要を上回って余分の品物を買ってしまうこともあるが、原則的には必要な品物を購入できるところである。スーパーマーケット側からすれば、顧客がいつ何を買いにきてもよいように、品揃えをしなければならないと考えている・・・。』

◎スーパーマーケットから得られたヒントとは、スーパーマーケットを生産ラインにおける前工程と見たらどうかということであった。

◎やがて、ジャスト・イン・タイム生産システム全体が「かんばん」として知られるようになった。要するに、目的は、消費された量だけ、多くも少なくもなく正確に補充することである。完璧な無在庫である。

◎大野の言葉「時間は動作の影である」

◎アメリカのフォードで一年を過ごしてきた豊田英二は、そこで実施されていた従業員提案制度をトヨタへ導入し、全従業員がムダを探り出し、作業を改善する方法を発見するよう奨励した。

◎豊田英二と大野耐一は連携して、問題が生じた時には従業員がだれでも全組み立てラインを止めることができるようにした。

◎「トヨタ生産方式」は、トヨタ内部では大野耐一の業績に経緯を表し、一般的に「ひげさんのやり方」と呼ばれた。

[村上解説]
米国の学者の論文でトヨタを学ぶというのは、奇妙な感じですが、ハーバード・ビジネスで特集が組まれる大野耐一氏はそれほどの方なんです。有名なエピソード等は既知ですが、如何に大野耐一氏が優れた方であり、社内で敬愛された方にあるかは、この論文で知りました。科学的アプローチに於いて「観察」が如何に重要なのかを再確認しました。  

<ここまで11月21日分>
次回は、
<論文②>〔抄訳トヨタ生産方式〕 大野耐一(元トヨタ自動車工業副社長)

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