2014年連載①《チェーンストア経営の実務原則》

《チェーンストア経営の実務原則》
〜小売り業の発展と産業化を実現したチェーンストア方式〜

[はじめに]

日本の小売り業発展の歴史は、そのままアメリカの小売り業発展の“後追い”の歴史である。従って、日本のチェーンストア方式を見直そうとする時は、原点(アメリカ)の産業発展の歴史とそのバックグラウンドを見直すことになる。

◎ 格好な参考文献二つ

われわれには、この取り組みのための格好な参考文献を与えられている。

一つは、〔経営者の時代〕〜アメリカ産業における近代企業の成立〜上下巻、アルフレッド・D・チャンドラーJR.著(東洋経済新報社)である。
われわれは、この文献によってアメリカという国の地域的発展を歴史を産業経済の側面から学ぶことができる。その中で商業における伝統企業が、鉄道・通信というインフラが整備される過程で、どのように革新を繰り返し、遂にはチェーンストア方式に至ったかを知ることができる。

二つ目は、〔チェーンストア〕〜米国百年史〜、ゴドフリー・M・レブハー著(商業界)である。
われわれは、この文献によってアメリカでのチェーンストア方式が誕生する多くのエピソードから発展過程を時系列的に学ぶことができる。
ここで、各種「業態」ではなく“チェーンストア方式をとる個別企業”の時代の幕開けを知る。ここに至って、チェーンストア方式と言う“革新的商品販売方法”または“革新的店舗運営方法”が、核心であることに気付かされるのである。

◎ 業態論中心で、“歪んだ”チェーンストア方式をとる日本の多くの企業群

チェーンストア方式も進化し、変化してきている。特に、コンピュータの発達よって、チェーンストア方式も「標準化」対応をよりきめ細かく進めることができるようになった。
<[画一化]⇒[標準化]⇒[個別化]>
かつては、[標準化]対応としての店舗運営状の定義は、ほとんど[画一化]に近い[標準化]であったが、今日ではコンピュータの発達で、[標準化]は[個別化]に近い状態で管理できる。
一方で、《同一労働同一賃金の原則》違反の現状と低賃金状態、言うところの《ブラック企業の労働環境》が、横行する現状は、正しいチェーンストア方式の原則が機能いているとは思えない少なからぬ企業の存在を伺わせる。

◎ “攻め”だけでなく、“守り”にも効果性を発揮するチェーンストア方式の方法論

チェーンストア方式の発想の発端は、売上高の増大手段の発見である。売上高の増大により、相対的のコスト(経費)を軽くする。そのための方法論の中心は「標準化」である。「標準化」を武器のする店舗運営は、自社の強さを「標準化」に“載せて”全店で発揮する。

一方、「標準化」された店舗運営は、システム改善や作業段取り改善は、改善効果を全店舗に波及できる。また「標準化」は、システムの側面だけではなく、政策を全店に徹底する手段でもある訳だから、効果的な(付加価値の高い)もとを全店で直ちに実行できる。
このようにチェーンストア方式を経営(店舗運営)の基本(骨格)としている企業は、右肩下がりの経営環境下でも収益性を維持する。

◎ 業態論で、厳しい経営環境(競合状況)を乗り切ろうとする企業は、チェーンストア方式を逸脱しがちで、多店舗化して収益性を崩す!

現在指向している業態で、自社の強みを発揮出来ずにいる企業は、新しい(現在の店舗の異なるフォーマット)に“逃げたくなる”。例えば、『高質スーパー』、『商品バラエティのある複合品揃えの店』などである。この種のチャレンジは、往々にして失敗する。何故なら、<現在指向している業態で、自社の強みを発揮出来ずにいる>理由である点を更にレベル高く(少なくとも、一般的な合格レベル)にしないと勝ち残れない。
まず、やるべきことは、現在指向している業態で、経営体質、運営体制の強化を図ることである。
その取り組みを基本は、チェーンストア方式の再点検である。

この連載の狙いはそこにある。チェーンストア方式に決してこだわらない。チェーンストア方式を正しい店舗運営を考えるきっかけにするのである。

まずは、アメリカの小売り業の発展の歴史的流れを振り返り、チェーンストア方式誕生の複数のエピソードで学ぶこととする。

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