≪負け犬の遠吠え≫~少数派の意見に“理”あり、多数派の意見に“奢り”あり!~

前書き(断り書き)

私は、≪負け犬の遠吠え≫という言葉が好きである。負けて遠吠えする犬の心境に想いを致すのである。何か言いたそうではないか。その“遠吠え”する胸の内を聞いてみたい、ちょっと興味があるではないか。

勝ち誇っている勝ち犬の“自慢話し”より、負け犬の言い訳の方が、ためになる話しを口をとがらせて、小声で言ってくれそうではないか。

ハーバード・ビジネス・レビュー(ダイヤモンド社)である経営学者が『成功した経営者の7~8割が”運”によるものである』という小論を掲げていた。
私はこれを読み、サラリーマン経営者に関しては筆者の見解に同感である。
創業経営者は、“運も実力の内”として認めたい。

一方、成功したとして、人前で語るサラリーマン経営者を見ると“勝ち誇って蘊蓄を語る勝ち犬”に見えて、いい気はしない。
『成功した経営者8割が運によるものである』のかもしれないのにである。

この私の論旨こそ、≪負け犬の遠吠え≫そのものである。
ただ世の中の事象を見ると≪少数派の意見に“理”あり、多数派の意見に“奢り”ある≫が多いと感じるのは、私の“負け犬”根性のせいだけではあるまい。

≪勝てば官軍、負ければ賊軍!≫という言葉もある。私は、この言葉が嫌いであり、この言葉を信奉する友人はいない。その後の“驕り”が推測される。

私は、終生“少数派”で生きる事を良しとする。いや、“多数派”になった途端に、お尻がむずむずしてきて居心地がわるくなる。周りの昨日までの同志に変質してくる者が出てきて、いやになってくる。
キューバ革命の時、カストロと袂を別った<チェ・ゲバラ>か、自民党をとびだしたみんなの党の<渡辺喜美>か、立ち上げれ日本の<平沼赳夫>か、はたまた<小沢一郎>か・・・・!?
彼らの“遠吠え”は、興味深いだけではなく、学ぶところが多い。

これから掲載する私の小論のほとんどは、“少数派”意見である。読者は、“負け犬の遠吠え”として読み流してほしい。少数の方に「なるほど、一理あるな!」と思って頂けたら、望外の幸せである。

負け犬の遠吠え~村上忍のエッセイ⑦~

トップの見識と社会的責任

西友がまだウオルマートの傘下に入る前のことである。
西友グループの子会社である生鮮食品を扱う会社での出来事である。ある日のこと、同社の配送のトラック運転手が脳内出血でたおれた。幸いにして症状は軽く、一命を取りとめた。
部下からの一報でG社長が当日のうちに、病院に駆けつけた。病室のベッドには、本人は落ち着いた寝息で寝んていた。傍らには奥さんと娘さんがおり、恐縮の面持ちで社長を迎えた。
症 状の軽さを聞き安心した旨を社長が語りかけると、奥さんと娘さんの心配が実は別のところにあることをG社長は知らされた。奥さんが思いつめた表情で「主人 は、もう会社において頂けないのでしょうか?」と問いかけてきたそうである。G社長は、そんなことを心配していたのかと、「心配はいりません。復帰後のこ とは、私にお任せなさい。今は、一日も早い回復を目指し て看病しなさい。」ここまでがお話の第一幕である。

トラック運転手氏がめでたく 退院して現場に復帰した。勿論、運転は無理である。G社長の指示である配送デポの事務に配属された。表面的には、後遺症はなさそうだっなが、配属先の所長 から社長に問題指摘がされた。「社長、問題があります。彼は、計算が間違いだらけでうちのデポでは、使えません。」G社長の所長への回答は次のようなもの だった。「彼は以前から計算は苦手だったよ。それだけだ。」
暫らくして、所長が社長に電話した。「社長、やはり、彼はうちのデポでは、戦力化出来ません。ご指示ください。」
G 社長が所長に語りかけた。「我が社は、知っての通り一切のムダを排除することを心がけるように指示して、生産性、効率を追及してしている。何故かわかる か? それは、今当社で真面目に働く全社員、パートタイマーの、更には関連お取引先さまの雇用を守り続ける為だろう。君の部下社員とパートタイマーたちに聞いて みるといい。彼は仕事がのろいから辞めてもらうか、それとも彼の分まで頑張って彼の雇用を維持するかどちらを選ぶかと。従って、君のやるべきこと は・・・」その所長はG社長の言葉を遮り「解りました、おっしゃることを。私に彼のことは、しかるべき仕事場を確保させて頂きます。」その所長は、元配送 運転手氏のしかるべき簡単な職種を創造してデポ内働かけるように対応したそうである。

同じ頃西友グループの役員会事務局の責任者 をしていた友人から聞いた話である。当時、時代の流れでグループ会社として人材派遣会社が作られていた。そこの社長に日本航空の客室乗務員出身の人材派遣 会社の女性社長が新たに就任した。乗り込んできた彼女は、すぐさま人員のカットを命じたそうである。「何をしているのよ。役に立たない社員は切るのよ。ど うしてこんなに簡単なことがわからないの。」と幹部を叱咤したそうである。

当時は、時代の変わり目であった。経営者への期待も評価も変わ りつつあった。今にして思うとある時代にある種の感慨を持つ。G社長は、かく言う私とボストンでレーバースケジューリングを共に学んだ同志である。そこで 学んだ技術の根本精神は、従業員を如何に機嫌良く働かせるかであることであると学んだ。《人は機嫌良く働いている時が一番生産性の高い仕事をするものであ る》が我々を指導したスターマーケット社の社長アブデシャン氏の信念であった。

(2011年10月3日 村上忍)

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