<オレオレ詐欺>体験記

私は、72歳の独居老人です。早く妻を亡くしましたが、二人の子供(娘と息子)も家庭を持ち独立して、私自身は、独居を謳歌しております。現役のコンサルタント(チェーンストアの経営、運営の実務指導が専門、近年からアクティブシニアの活躍支援を後半生のライフワークとしています)で暇を持て余すことがないレベルの忙しさを楽しんでいる昨今です。

5月17日(火)の夜8時前に家の固定電話に「息子」から電話が入りました。
「僕だけど、ちょっと話したいことがあるので、明日10時半頃家に行くから・・・。」
これまで聞いたことのないほど暗い、ぶっきらぼうの話し方でした。
「わかった、内容は明日会って聞くよ。」と応えました。
息子は、2014年に結婚して、先ごろ新居建てて移り住んだばかりでした。
その暗い、周りを気にしているように声をひそめた、表情のない話し方は、ただならぬ事態の渦中にあることが伺えました。

考えられる事態は、夫婦間の問題か、仕事関連の問題か、はたまた・・・。
一晩中、想像をたくましく、考え付く事態を設定して、対応策を考えて眠れぬ一夜を過ごしました。

5月18日(水)いつも通りに4:30 起床、室内ルーティーン、スポーツの広場ルーティーンを済ませました。
10時半に、「11時半になりそうだ。」「息子」から、ぶっきらぼうな口調で固定電話に電話がありました。そこで「何があったんだ?」と話を向けると具体的な内容を話し始めました。
「誰にも言っていないのだけれど・・・」、「投資に失敗して、それ自体は解約はしたんだけれど・・・・」
「銀行でもお金を借りられず、今池袋に、知り合いが職介してくれた金融関係の事務所に向かっているんだ。」、「馬鹿野郎!なんで親に最初に相談しないんだ。」「金額が、金額だからさあ。」「幾らだ?」「600万円あればない丈夫だけれど。」
「いいか、その金融関係の事務所から借りることはやめろ。」「お父さんが、今から、所沢に出て、銀行から現金をおろす。」
「今は、銀行は高額を引き出すことは出来ないようなけど、お父さん、大丈夫?」
「なんとかするよ。」「こんな状況なので、いつもの携帯を持っていないから。別の携帯の番号を言うから、お金おろせたらここに連絡してくれる。銀行では、会社や家のに話がいかないようにしてよね。」私にとって想定外の展開です。

11時過ぎに、銀行の通帳、キャッシュカード、実印、パスポートを持って自宅を出て、バスと電車で所沢駅へ向かいました。
車中、息子の携帯に電話をしました。息子は、いつも通り、勤務時間中は電話には出ないで留守電になってしまいます。今日は、出勤していないのだから当然だと得心しました。
その頃になって、私はそれなりに冷静さを取り戻しはじめていました。
所沢駅へ息子を呼び寄せ、本人の口から面と向かって事情を話させて、金の工面の行動を起こすつもりでした。
そこで、私は考えました。息子が所沢駅まで来ても、現金の必要性を言いつのってきた場合どうするかです。
ここで、恥を忍んで事情を話せる方に電話しました。その方は、話しを半分も聞かないうちに「村上さん、それは詐欺だよ!」「村上さんの息子さんは、そんな借金をするわけがないでしょう。」と。
とりあえず息子を会って事情を聞いてから、必要ならばまた連絡して助言をいただくことを約束して電話を切りました。

所沢駅校内で、期待せずに息子に携帯に再々度電話を入れてみました。
呼び出し音が繰り返し鳴ったのち、留守番に変わる前に本物の息子が出たのです。
「お父さん、何か用?」「お前、大丈夫なのか・・・?」「何の話だい・・・?」

詐欺が確定したので、私は駅前交番に直行しました。
交番でその旨を話すと、即詐欺担当に刑事が4人ほど来ました。経緯を3回繰り返し説明しました。年配の刑事から、犯人逮捕に協力する依頼をされました。囮捜査です。
私は15時から自宅で会議をやるので最後までお手伝いできません。その間も「息子(犯人)」から私の携帯の電話が入ります。「お金の手配がついた?」
交番の奥の個室で作戦会議です。一人の刑事の発案で、「銀行に行って交渉して警察に連絡されて、警察に戻されたことにしましょう。警察が息子さん(犯人)にお父さんの現金の必要性の有無を確認した上で、警察がその金額を渡してよしと許可を出すというストーリーにしましょう。」ということにないました。刑事らの前で、私が息子(犯人)に電話しました。
「お前か、お父さんは今警察にいる。」電話口の彼は、ギクっとした様子が感じられました。
「銀行で粘って、特殊な事業資金として必要なんだと説得して、警察が身内の者に確認してOKを出せばお金を出しても良いという話に漕ぎつけた。今、警察の方に代わるから。」若い刑事が電話に出て、「私は、所沢警察の**と申します。あなたのお父さんは、経営コンサルタントで今、新しいプロジェクトに取り組んでいると聞いていますか?」息子(犯人)は、警戒してか、聞いていないと答えたようです。この刑事は、“めげずに”質問をいく返し、納得したように、携帯を私に返してきました。「ということで、お父さんは3時から家で打ち合わせがあるから、お金が出来次第電話するから、出来るだけ早く所沢へ来いよ。」と電話を切りました。この場面で、私はお役御免で家に戻ります。
私の携帯電話機を刑事にお貸しして私は家に戻りました。結局は、逮捕できなかったようです。「声が違う!」と。

感想

まさか、自分か体験しようとはおもしませんでした。
また、まんまと罠にはまりかけたのです。途中まで、息子の「人生のピンチ」を救う親の務めを果たそうと、詐欺を疑おうとしたいのです。理由を告げられずに、一晩、眠れぬ夜を過ごし、考えられるだけの問題状況を思い浮かべさせられて、「実は・・」と展開されだので、
日頃から、注意を喚起されている<オレオレ詐欺>というフレーズが念頭から消えてしまうのです。
ただ、今回の場合、銀行が最初から警察に通報し、高額を降ろさせませんから成功しなかったでしょう。現ナマを持ち運ぶ方式は、タンス預金の方々に通用する方式だったわけです。
もし、息子と連絡が取れずに、どこかに振り込むことを指示されていたら、詐欺は成功していたと思われます。
娘と息子双方とルールを作っておく必要があります。

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