《村上徳忍のエッセイ・シリーズ⑥》

[くれぐれも“脱サラ”すべからず!!]

(6)米国本土(メインランド)において展開するスーパーマーケット店舗で同様の密着観察調査に挑戦する

ハワイでのSafewayの店舗での店舗運営の調査結果は、業界雑誌「食品商業」、「販売革新」等で紹介された。写真付きで紹介された24時間の各売場の変化、従業員の仕事ぶり等の内容は、心有るチェーンストア・マンにとっては刺激的だったと思う。

その調査内容をもとに〔チェーンオペレーション・バイブル〕〜商業界〜1993年に出版した。その後、毎年開催した同セミナー(調査)は、大変ハードなプログラムであったが盛況だった。

勿論、レイバースケジューリングの実務も各種関連ツールを含めて把握、収集出来てきて、定型セミナーの内容も充実してきた。

当時の私の関心は、米国本土の他のスーパーマーケット・チェーンの店舗運営へ向かっていた。

ロスアンゼルスを中心にスーパーマーケット巡りをしていた。当時のロスアンゼルスは、地元のSM御三家<ラルフ、ボンズ、ラッキー>と全国チェーンのアルバートソンが、マーケットを分け合っていた。この他にも富裕層住む地域(例えば、ビバリーヒルズ)を中心店舗展開するゲルソンや特定部門が強い(例えば、ベーカリー、総菜等)数店舗から数十店舗規模の専門店型スーパーマーケットも存在した。

当時から、日本のスーパーマーケット経営者は、マーケティングの視点が強く(と言うよりも、オペレーションの視点がながった)、米国独特の地域スーパーマーケット(大きくても1000店を超えない〜当時〜)、ナショナル・チェーン(米国では、グロサリー・チェーンと呼ばれていた数1000店規模〜当時〜)、専門店型スーパーマーケット(10店前後から100店を超えない規模〜当時〜)、人種別スーパーマーケット(数店舗)といった分類には関心が薄かった。

なんせ、国土の広さが違うので、100店前後でも日本では立派にチェーン展開しているという理解であったのだ。

チェーンストアの店舗運営の仕組みを研究する目的の私のターゲットは、当然ナショナル・チェーン(グロサリー・チェーン)のアルバートソンであった。

◎    またも、偶然が私に味方でした!

ロスアンゼルスを徘徊していると、格段に管理レベルの高いアルバートソンの店舗を見つけた。

グロサリーのエンド陳列の見事さ、標準化された大型POP(当時は“手書き”)、生鮮部門の鮮度管理(特に青果部門)の良さと陳列レベルの確かさ。「これだ!」と店長を売場に呼んでもらった。

20歳代の若い店長であった。つたない英語で(通訳がいない単独の訪問が幸いした)「私は日本でスーパーマーケットのマネジメント、オペレーションを専門とするコンサルタントである。」

「こんなに管理レベルの高いスーパーマーケット、Albertsonは、初めて見た。感激である。」と誉め称えた。彼(バーカー店長)は、新人店長(高卒)で8年目で店長に昇進した優秀な店長であった。店長室に招かれて、人事制度等の説明を受け、マニュアル類も見せてもらった。これを探していたのだ!

私は彼にいった。「私の夢は、日本のスーパーマーケットをこの店のような管理レベルにすることである。協力してくれないか!?」何をしたらいいんだと聞いてきた。「あなたのこの店とあなたのマネジメントの実際を日本のスーパーマーケット・マンに洗いざらい見せて欲しい!」

“ノー・ブロブレム!” と彼は答えた。その後、Albertsonの多くの店舗で10数年間にわたって開催された〔アルバートソン・スタディ〕〜米国エクサレント・スーパーマーケットにおけるチェーンオペレーションを学ぶ〜が決まった瞬間である。

セミナーのカリキュラムは、ハワイでのSafewayの時と同じにした。SafewayとAlbertsonの店舗運営を並列比較するためである。Albertsonの店舗は、24:00閉店で6:00開店が通常の営業時間であった。しかし、各部門の作業の段取りは、営業時間に関係なく同じであった。対面サービス部門は、殆ど19:00にサービスを終わり、清掃作業に入り、ピカッピカに仕上げて部門の担当者は退店する。23:00頃からお店はナイトクルー(夜間品出し担当者)の世界となる。24:00前にバックヤードから後方出入り口の上限に届きそうな程商品を積み上げたパレットが20台前後売場へ運び込まれる。壮観である。それらがナイトクルーの手でそれぞれの売場にばらまかれる。その後、明け方6:00前後まで品出し作業が続く。

そこ頃には、24時間密着調査の“見所、勘所”も掴めてきていた。

*    6:00頃からの各部門の売場作り作業

*    16:00頃からのピーク時対応(特に、サービス対応)

*    18:00過ぎからの部門閉鎖作業(清掃他)

*    19:00過ぎの夜間体制(人員の配置、サービス対応)

*    24:00前後からのナイトクルーの動き(プロフェッショナルの作業ぶり)

*    青果部門の時間帯毎の作業と鮮度維持の方法論

*    店長、副店長(グロサリー・マネジャーが兼務)、各部門マネジャーの仕事内容と動き

最初の数年はバーカー店長の店舗を追いかけた。つまり、彼が転勤すると調査店も移ったのである。数年後に、ラビン店長(Albertson)を知った。ベテラン店長である。その後は、ラビン店長の店舗のお世話になった。

2004年にアルバートソン・スタディを核にした単行本〔レイバースケジューリング〕〜商業界〜を出版した。

私は、店舗運営密着調査セミナー実施のために、Safeway、Albertsonでは、企業(本部)とではなく、ダイレクトに店長とコンタクトして開催した。二社ともグロザリー・チェーン(ナショナル・チェーン)である。二社のも店長の店舗権限が強い(ベテラン店長は特に)。

Pablixは、本部と通しで交渉した。HEBでは、最初は本部に声をかけたが、最終的には調査したい店舗の店長との直談判であったように記憶している。Wal-martは、アポなしの売場からの調査で徹した。つまり、企業により、地区本部の方針により、店長によってアプローチ方法を変えた。

私は、実力店長と信頼関係を作って行く方法が好きであった.彼らは“意気に感じて”対応するくれた。今での友情関係が続いている。

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