《村上徳忍のエッセイ・シリーズ⑤》

[くれぐれも“脱サラ”すべからず!!]

(5)この分野(チェーンストアの店舗運営実務)で他コンサルタントとの差別化を図る

実のところ当時の私は、〔チェーンストアの店舗運営実務〕(特にスーパーマーケットの店舗運営実務)について特段と情報、知識を持っていた訳ではなかった。この発言は、〔チェーンストアの店舗運営実務〕の方法論である[レイバースケジューリング・システム]を紹介、解説した本を書いた人間としては問題発言だと思われるかも知れない。しかし、当時の私の小売業の実務に関する知識は、GMSの食品部門での短期間の経験に基づくものでしかなかった。

実際、ボストンのスターマーケット社で[レイバースケジューリング・システム]を学ぶ過程で、スーパーマーケットに関する知識の不足を痛感したのである。

流通学者ではなく、実務コンサルタントを目指すならば、現場実務(特に、スーパーマーケットの)と知らなくてはならない。当時は、日本の小売業界の人々(企業人、コンサルタント、流通学者)は、米国小売業界に関して流通マスコミレベルの情報・知識しかなかった時代である。

従って、米国の先進スーパーマーケット・チェーン企業の店舗運営の実態、実務を私自身学び、紹介することを考えた。

◎    定番のユニークな【本舗実務に24時間密着観察調査するセミナー】の開発、開催

私の新規企画への取り組みは、これまでの“縁”の発掘から始まる。

当時の私の米国とは、ボストンのスターマーケットではなくてハワイであった。前職(教育課スタッフになりたて)の頃3ヶ月間日系スーパーマーケットでの店舗作業での実習経験があったのとその関係での知人が少なからずいた。特に、私を自分の子供のように可愛がって下さった日系スーパーマーケット〔Big Way〕オーナーの新宅春人さんは、ハワイの日系人社会(小売業)も実力者であり人格者で人望があった。

ただ、私の狙いは米国の先進スーパーマーケット・チェーン企業である。

ハワイには、メインランド(本土)のスーパーマーケット・チェーンとしては、唯一Safewayが進出していた。そのSafewayの繁盛店がアラモアナ地区に隣接したベレタニアにあった。都合の良いことに24時間営業店であった。24時間営業であれば、売場で24時間付きっきりで観察調査出来る筈だ。アラモアナ地区のホテルからタクシーで10分間で行き来出来る。

これだけの前提で、前例のない【24時間米国スーパーマーケットの売場に密着して店舗運営実務を観察調査するセミナー】を企画し、参加者を募集した。

セミナー参加者がやることは、観察・調査である。

調査内容は、次の通りである。

①.24時間、毎時1時間の入店客数(男女別、年齢層別)〜数取り器で2カ所の出入り口で調査〜

②.24時間、毎時定刻に駐車場の駐車台数を数える

③.24時間、店内閉鎖売場、中止サービスを調べる

④.24時間、毎時定刻稼働レジ台数

⑤.24時間、毎時定刻店内従業員数を数える

⑥.時間帯別実施作業内容

⑦.各作業の観察メモ

この調査項目を、セミナー参加者(30〜35名)を4チームに分け、24時間(6つの時間帯〜1時間帯4時間〜)の2つの時間帯を担当して調査した。

ホテルからは、24時間フロントでタクシーが拾える。調査店出入り口には、タクシー・コール専用の電話があった。

準備の過程で調査店店長ジョン・オブレイ氏の仲立ちをしてくれる人物(ミッキー高橋氏)とコンタクト出来、店長の了解の下での調査となったことは幸いであった。

◎    セミナーの成功

セミナーは大成功だった。当初は、大過なく終れば成功という“出たとこ勝負”の企画であった。

成功の要因①:セミナー参加者が粒ぞろいで、興味津々しかる後大興奮で2日間殆ど寝ないで実態調査、まとめ討議に取り組んでくれたこと。

成功の要因②:調査店Safewayベレタニア店の店長ジョン・オブレイ氏以下マネジャー、従業員が優秀でモラールが高く、我々の調査に全面的に協力してくれたこと。

成功の要因③:地の利の良さ。アラモアナ・ホテル(宿泊、研修)とSafewayのハワイ一番店がタクシーで10分弱の距離にあり、治安がよい場所であったこと。

成功の要因④:時代背景。当時のチェーンストア状態の人々は、向上心は旺盛で、学ぶことにどん欲であったこと。

ホテルのセミナー・ルームでのまとめ発表会には、ジョン・オブレイ店長夫妻とミッキー高橋氏を招いた。各チームの調査し、分析し、まとめたセミナー・ルームの壁に貼られたグラフ、資料をミッキー高橋氏の説明(英語での解説)を興味津々で聞いて、セミナーの趣旨を完全理解したオブレイ氏は、その後の夕食会の席で「来年もやるのか?」やらして欲しいと言う私に「ウエルカム!」を確約してくれた。

ジョン・オブレイ氏は、その後ハワイのローカル社員としたては、初めて本体の幹部登用試験に合格して、研修の後メインランドで販売部長等を歴任し、現在はロスアンゼルス地区の営業部門のトップ(vp)である。

このセミナーは、店長がミッチェル氏に代わっても引き継がれて、5年程同店で開催された。

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