《村上徳忍のエッセイ・シリーズ⑪》

[くれぐれも“脱サラ”すべからず!!]

(11)米国でのセミナーを総括する

◎ 大過(ひどい失敗)なく続けられたことに感謝

1991年6月にハワイで始まった〔米国スーパーマーケットでの24時間店舗運営に完全密着して観察するセミナー〕は、調査店(企業)としては、セーフウエイ(ハワイ)、ボンズ(ロスアンゼルス)、アルバートソン(ロスアンゼルス)、パブリックス(フロリダ)、HEB(テキサス)、ウオルマート(ラスベガス)で実施した。その殆どは公開セミナーとして開催した。単独企業としては、カスミ・ストア、西友、万代、アップルがある。
今年(2013年)6月にハワイで最終セミナーを指導先企業(精文館書店)のセミナーとして実施した。22年間、大過なく実施出来たことこそ成果である。

◎最大の関門は、受講者の人数集めである

公開セミナーが頓挫する一番の危惧は、参加人数が開催必要人数集まらないことによる中止。視察を目的としたセミナーであれば、参加者が何人でも実施可能である。赤字を覚悟すればいいだけのことである。
定番の24時間密着調査となると仮に1グループの調査時間を4時間とすると24時間を6つの時間帯に分けることになる。1グループが2つの時間帯を受け持つと3グループで24時間をカバー出来る。セミナー(調査内容)とグループ討議の関係上、1グループ6名編成がベストである。1時間帯2グループとするとセミナーの募集人数は36名名となる。1人35万円というデイスカウント価格で募集しても簡単に集まるものではない。
チェーン企業へのDMと業界誌(食品商業、販売革新)への募集広告が販促の手段である。
後は、知り合いとなった経営者や経緯集担当者への手紙(私信)と電話、過去の参加企業への特別販促である。最初の数年のブーム的集客を除けば、参加者募集で胃が痛くなる数ヶ月を毎年過ごすこととなった。毎年数名(数社)の熱心な参加希望者のために意地になって集客をした。何人かの経営者の方に苦しい時に助けて頂いたものである。
最低25人前後で開催したこともある。参加者に負担がかかったが、セミナーとしての完成度も参加者の満足度も高いものに仕上がった。

◎ セミナーの特徴〜ハードさと緻密なプログラム、(それ故の)達成感!〜

ムラカミ研究室の米国セミナーは、ハードな(猛烈な)研修内容で名を馳せた。私自身は、セミナー参加者に中身の濃い〔2泊3日の合宿セミナー〕に参加してもらっているとの認識であって、とりわけハードとは思っていなかった。
セミナーの内容(プロセスと結果)には自信があった。セミナーでは、参加者個々に分厚いファイルを持たせた全員に収集データ、まとめデータ、各チームのまとめ報告書を共通にコピーして配布した。
データ収集は、時間帯単位でなされた。店舗運営を時間帯で管理していることが科学的店舗運営のポイントであると理解したからである。
<時間帯分類>
密着調査(1〜2日目)
◆ 夕方時間帯(16時〜19時)第①グループ実態調査担当<②③グループ準備、仮眠>
◆ 夜間時間帯(20時〜23時)第②グループ実態調査担当<①③グループ整理、仮眠>
◆ 深夜時間帯(24時〜03時)第③グループ実態調査担当<①②グループ整理、仮眠>
◆ 早朝時間帯(04時〜07時)第①グループ実態調査担当<②③グループ整理、仮眠>
◆ 午前時間帯(08時〜11時)第②グループ実態調査担当<①③グループ整理、仮眠>
◆ 午後時間帯(12時〜15時)第③グループ実態調査担当<①②グループ整理、仮眠>
<収集数値データ>
(1)1時間ごとの入店客数〜2カ所の出入り口で数取り器(カウンター)で計測〜
(2)定時(1時間ごと)の駐車台数
(3)定時(1時間ごと)の稼働レジ台数
(4)定時(1時間ごと)のレジ待ち客数
(5)定時(1時間ごと)の従業員数
<時間帯共通観察事項>
(1)マネジャー(店長、副店長〜グロサリーMgr〜)の勤務時間帯とその間の動き
(2)売場作りの時間帯別作業
(3)清掃とメンテナンス作業(どの時間帯に誰がどのようにやるか)
(4)顧客サービスの実状
<目撃情報の記録〜〔ブルーペーパー〕の作成〜>
セミナー参加者に気になった目撃情報を克明に記録させた。5W1Hを詳細に記録させた。これが〔ブルーペーパー〕である。実は、全員ですべての時間帯であらゆる箇所と機会に拾った事実である。〔ブルーペーパー〕情報がこのセミナーで得た最も貴重なものと意義づけた。
<かくグループのまとめ>
《わがグループが見たセーフウエイ》
Ⅰ.<我々が目撃した象徴的事実>〜〔ブルーペーパー〕より〜
Ⅱ.<差別化的特徴>〜Ⅰから云えること〜
Ⅲ.<その背景にあるもの>〜ビジョン、仕組み、教育、規範・・・〜
Ⅳ.<我々は何を学ぶべきか>

最後の各グループの発表会と食事会は、達成感で盛り上がる。ここで成功を確認する。

◎ この継続の間に、終世の友人、同志を得た

私は一連と米国セミナーを通して、多くの友人、同志を得たことが人生にとっての財産であった。その象徴的な出来事があった。2013年6月にハワイで実施したセミナーでセーフウエイの最新店を視察することにした。1991年6月の最初の調査店セーフウエイの当時の店長
オブレイ氏が、現在出世してカリフォルニア地区に営業のトップ(vip)になっていることを思い出し、ロスの顔見知りの旅行社の担当者に連絡してもらい、便宜をはかってくれないかと要請したのである。何と20年前の関係である。
1時間半程の視察であったが、10名のセミナー参加者に副店長の他に2名の社員を付けてくれた。
他の視察店の日系スーパーマーケットのマルカイでも店長が付きっきりで対応してくれた。年来の友人である社長のリチャード松さんの心使いである。
このシリーズのセミナーに参加されて終世の友人になった方も多い。

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